お坊さんの名前(僧名)って、たくさんありますよね。
良信(りょうしん/よしのぶ)とか、宗閑(そうかん) とか、慈海(じかい)とか、本当に様々な呼び名があります。
お坊さんは、仏教の僧侶や尼僧を指す一般的な用語で、その呼び名は宗派や出家の儀式によって決まるわけなんですが、実際どのようなタイミングで名前が変わるか気になったことはないでしょうか?
またその際、なにか法的な変更手続きは必要なのでしょうか?
今回は、そんな素朴な疑問を記事にしてみました。
お坊さんの名前について、気になる方はぜひ最後まで読んでみてくださいね。
目次
お坊さんは出家のタイミングで名前が変わる
お坊さんの名前(僧名)は、出家のタイミングで変わることがほとんどです。
出家する際、つまり仏教徒として修行生活を始める時に変わるわけですね。
出家は、俗世の生活を離れ、仏教の修行者としての生活に入ることを意味し、この時点で新たな名前が授けられるのです。
これは、私たちが日常的に生活している世界から離れて、仏様が説いた道をひたすらに進むことを意味します。
「僧として生きていく」と決断するわけで、その際に今まで親から付けられた名前を変えるお坊さんが大半だということです。
もちろん出家をしても、名前を変えないお坊さんもいまして、この辺りはそのお坊さんが属する宗派によって変わってきます(改名が必須のところもあればそうでないところもある)。
お坊さんの名前の変更手続きは?
お坊さんの名前変更手続きは大きく分けて二つあります。それは、
- 家庭裁判所に届け出る
- 市区町村役場に届け出る
です。
お坊さんが名前を変えるにはまず、本人が居住する地域にある家庭裁判所に届け出なければなりません。
詳しくみていきましょう。
家庭裁判所に届け出る
というのも、戸籍法第107条の2に、「正当な事由によって名を変更しようとするものは、家庭裁判所の許可を得て、その旨を届け出なければならない。」とあるからです。
この「正当な事由」というところがポイントです。
お坊さんの場合、宗教活動上の理由で改名するわけで、その名前変更の申請内容が、法的に妥当なものか(正当な事由なのか)を証明しなければなりません。
実際に、家裁に名前の変更を申請したとしても却下されてしまうケースも少なくありません。
理由として、
- 宗教活動が社会活動の一部に過ぎない。
- 申請者本人が、実質的に宗教活動していない。
- 在来出家である。
などが挙げられます。
出家が形式的なものだと判断されれば、裁判所は却下するんでしょうね。そのように考えられます。
もし名前の変更を却下された場合、2週間以内に家裁に抗告するか、通称名の実績を積み上げて再申請する必要があります。
そして、申請が家裁に認められたのちに、役所に必要書類を提出して、やっとお坊さんの名前変更の手続きが完了するというわけです。
このプロセスは、地域や個別の事情によって異なる場合がありますので、実際の手続きを始める前に、管轄の家庭裁判所や市区町村役場に相談することをお勧めします。
また、手続きには時間がかかる場合があるため、余裕をもって準備を進めることが大切です。
まとめ
お坊さんの名前はどのタイミングで変わるのか、また、その際の法的手続きについてみてきました。
出家のタイミングで変わるのはなんとなく理解できますが、それが公的に認められるためには、実際にお坊さんとしての活動に真摯に取り組まなければならないので、大変なことです。
改名できているお坊さんは、そのこと自体が一人の僧として誉れ高いと感じます。