日常の疑問

お坊さんの名前ってどのタイミングで変わるの?法的な手続きは?

お坊さんの名前(僧名)って、たくさんありますよね。

お坊さんは、仏教の僧侶や尼僧を指す一般的な用語で、その呼び名は宗派や出家の儀式によって決まるわけなんですが、実際どのようなタイミングで名前が変わるか気になったことはないでしょうか?

またその際、なにか法的な変更手続きは必要なのでしょうか?

今回は、そんな素朴な疑問を記事にしてみました。

お坊さんの名前について、気になる方はぜひ最後まで読んでみてくださいね。

お坊さんは出家のタイミングで名前が変わる

お坊さんの名前(僧名)は、出家のタイミングで変わることがほとんどです。

出家する際、つまり仏教徒として修行生活を始める時に変わるわけですね。

出家は、俗世の生活を離れ、仏教の修行者としての生活に入ることを意味し、この時点で新たな名前が授けられるのです。

これは、私たちが日常的に生活している世界から離れて、仏様が説いた道をひたすらに進むことを意味します。

「僧として生きていく」と決断するわけで、その際に今まで親から付けられた名前を変えるお坊さんが大半だということです。

もちろん出家をしても、名前を変えないお坊さんもいまして、この辺りはそのお坊さんが属する宗派によって変わってきます(改名が必須のところもあればそうでないところもある)。

お坊さんの名前の変更手続きは?

お坊さんの名前変更手続きは大きく分けて二つあります。それは、

  1. 家庭裁判所に届け出る
  2. 市区町村役場に届け出る

です。

お坊さんが名前を変えるにはまず、本人が居住する地域にある家庭裁判所に届け出なければなりません。

詳しくみていきましょう。

家庭裁判所に届け出る

お坊さんが名前を変える際には家庭裁判所に届け出る必要があります。

その際は、一般的に「姓名の変更許可」申請が必要になります。

日本においては、民法の規定に基づき、正当な理由がある場合に限り、姓名の変更が許可されます。

お坊さんとしての僧名への変更も、この手続きを経て正式に行うことができます。以下は、そのステップの概要です:

変更理由の確認

僧名への変更を希望する場合、まずは変更の正当な理由が民法の規定に合致するか確認します。

仏教徒としての生活を送る上での宗教的な理由は、一般的に正当な理由と認められます(次の章で詳しく説明します)。

必要書類の準備

氏名変更申請には、申請書や戸籍謄本、身分証明書、僧名変更の理由を説明する書類(宗教団体からの推薦状や証明書などが必要になる場合があります)など、必要な書類を準備します。

家庭裁判所への申請

準備した書類をもって、本籍地を管轄する家庭裁判所に申請を行います。

申請は、本人が直接行う必要がありますが、場合によっては代理人を立てることも可能です。

審査

家庭裁判所では、提出された書類と理由を基に審査が行われます。

この過程で、追加の書類提出や面接が求められることもあります。

裁判所の決定

審査の結果、申請が認められると、裁判所から「姓名の変更許可決定」が出されます。

決定が出された後、戸籍の変更手続きを行うことになります。

市区町村役場に届け出る

お坊さんが名前を変える、僧名変更手続きは、基本的には戸籍の変更申請に関わるもので、家庭裁判所からの姓名変更許可が必要な後のプロセスです。

家庭裁判所による許可後、以下のステップで役所への手続きを行います。

必要書類の準備

家庭裁判所からの姓名変更許可決定書を含め、戸籍謄本(抄本)、身分証明書、そして必要に応じて宗教団体からの僧名を証明する書類など、必要な書類を準備します。

市区町村役場への提出

本籍地を管轄する市区町村役場に、準備した書類を持参し、戸籍の変更申請を行います。

申請は本人が行う必要がありますが、事情によっては代理人が行うことも可能です。

この場合、代理人の身分を証明する書類も一緒に提出する必要があります。

申請の審査

役場での申請後、提出された書類と情報が審査されます。

このプロセスでは、追加情報の提出を求められることもあります。

戸籍の変更

審査を経て申請が承認されると、戸籍に記載されている名前が新しい僧名に変更されます。これにより、法的にも新しい名前が認められることになります。

新しい戸籍謄本の取得

名前変更後は、新しい戸籍謄本(抄本)を取得します。

この謄本が、新しい名前での正式な身分証明となります

その他の公的書類の変更

戸籍の名前変更後、運転免許証やパスポート、健康保険証など、その他の公的な身分証明書類の名前も変更する必要があります。

それぞれの機関に連絡し、名前変更の手続きを行います。

届出の際のポイント

お坊さんが名前を変える届け出をしたからといって、必ずしも改名の認可が下りるわけではありません。

特に、家庭裁判所へ書類を届け出る際には注意が必要です。

というのも、戸籍法第107条の2に、「正当な事由によって名を変更しようとするものは、家庭裁判所の許可を得て、その旨を届け出なければならない。」とあるからです。

この正当な事由」というところがポイントです。

お坊さんの場合、宗教活動上の理由で改名するわけで、その名前変更の申請内容が、法的に妥当なものか(正当な事由なのか)を証明しなければなりません。

実際に、家裁に名前の変更を申請したとしても却下されてしまうケースも少なくありません。

理由として、

  • 宗教活動が社会活動の一部に過ぎない。
  • 申請者本人が、実質的に宗教活動していない。
  • 在来出家である。

などが挙げられます。

出家が形式的なものだと判断されれば、裁判所は却下するんでしょうね。そのように考えられます。

もし名前の変更を却下された場合、2週間以内に家裁に抗告するか、通称名の実績を積み上げて再申請する必要があります。

そして、申請が家裁に認められたのちに、役所に必要書類を提出して、やっとお坊さんの名前変更の手続きが完了するというわけです。

このプロセスは、地域や個別の事情によって異なる場合がありますので、実際の手続きを始める前に、管轄の家庭裁判所や市区町村役場に相談することをお勧めします。

また、手続きには時間がかかる場合があるため、余裕をもって準備を進めることが大切です。

まとめ

お坊さんの名前はどのタイミングで変わるのか、また、その際の法的手続きについてみてきました。

出家のタイミングで変わるのはなんとなく理解できますが、それが公的に認められるためには、実際にお坊さんとしての活動に真摯に取り組まなければならないので、大変なことです。

改名できているお坊さんは、そのこと自体が一人の僧として誉れ高いと感じます。